●映画「王様ゲーム」を2回見た

先週この映画を見て、面白かったので今週もう一回、見ました。
ベリキューBerryz工房℃-ute)12人全員が出演しており、とても楽しませていただきました。


公開されてから時間がたっておりますが、以下ネタバレを含みますので念のためご注意願います。











1.挿入歌が良い
 映画の最初、あいりがつぶやくように口ずさむ歌が、とても悲しげで良かったです。Buono!℃-uteで元気に歌うあいりとは対照的でした。王様の寂しさというか、無気力感がよく表現されていました。
 以下の動画で再現してみました。(映画の中盤、4人の生徒が夜鳴村へ行くシーンでは、ロングver.を歌うのですが、そこは聞き取れなかったので再現できず。)



2.堂々たる演技 主役の3人
 謎めいた役 岩村莉愛を演じたあいりは、映画「ゴメンナサイ」の時と比較して、かつぜつがかなり良くなりました。まだまだ、アメを口に入れて喋っているような感じではありますが、逆にそれが素朴な雰囲気を出していて良いです。今のままでいいと思います。
 全編を通して、あいりの笑顔は見られませんが、クールな表情が上手に表現できています。ラストで、自分が抹消される内容のメールを、王様からもらった時のセリフ「そう来たか!」 は、とてもシリアスでした。


 王様から永遠の罰を与えられる役 本多智恵美を演じた熊井ちゃんは、「普通の女の子」のキャラをみごとに表現していてました。りさこまあさのように正義感のあるキャラでもなく、みやのようにギャル全開でもなく、ちなみのように元気に発言するキャラでもなく、なっきーのような彼氏に強く甘えるキャラでもなく、ちさとのような銀縁メガネの似合う優等生キャラでもなく、まいまいのような妹キャラでもない。、まさに普通の女の子です。
 もともと熊井ちゃんは、強烈な個性を持っているのではなく、ナチュラルな雰囲気のキャラを持っているので、それが、この映画の役にピッタリはまったと感じました。
 
 
 熊井ちゃんの幼馴染みの役 金沢伸明を演じた桜田通(どおり)君は、熊井ちゃんを守ってくれる力強い役でした。現在、日テレで放送中の「数学女子学園」佐藤一樹役を熱演してくれていますね。両者のキャラが全然違うので、最初は同一人物だと気づきませんでした。
 あと、金沢伸明の親友 橋本直也役の佐藤永典(ひさのり)君は、映画ライトノベルの楽しい書き方でまあさと共演してくれていましたね。2回目を見ている時に気付きました。こういう所に気付くと少し嬉しくなります。



3.年長者の扱いが・・・
 ももちは、セリフは多くないですが、最初から最後の方まで登場します。前半は、みんなが王様ゲームで騒いでいるのに、興味を示さずに、一人で黙々と自習しています。しかし、教室でケンカが発生すると、「聞きたくない!」と両手で耳を押えるか弱い仕草をします。そして終盤、4人で行った夜鳴村の廃校では、とても丁寧な言葉遣いで話します。これらの演技から推測すると、品格のある家庭で育てられたお嬢様というキャラなのでしょう。
 こうしたキャラ設定がももちには与えられている一方で、同い年の佐紀ちゃんまいみの扱いが低すぎました。
 特に、佐紀ちゃんなんかは、命令による人気投票で唯一、嫉妬による裏切りをして、教室から出ていき、抹消されるという役。セリフが少ない点は仕方ないとしても、せめてアップにして欲しかったです。
 まいみは、「もう出てこないんじゃないのか?」と見ていて心配でしたが、最後の最後に転入生の役で登場。男子からは「かわいい!かわいい!」と連呼されていましたが、本当に可愛かったです。と同時に美しくもありました。
 


4.原作よりもマイルド
 映画を見る前に原作を読みました。王様からの罰によって、体を切り刻まれるなどして残虐に殺されるシーンが沢山ありました。「これを映像化したら、ベリキューメンバーの悲惨な姿がスクリーンに映し出される」と思い、あまり映画を見たくなかったです。しかし、実際に見てみたら、王様からの罰は、「抹消よって存在そのものがなくなる」という設定でした。これによって安心して見ることができました。


 王様からの数々の命令は、映画では比較的あっさりと進行していきました。映画では時間的な制約があるので、テンポ良く話を進めていくことを優先したのでしょう。
 一方、原作では、命令によって巻き起こる人間ドラマが描かれています。例えば、直也vs.佳奈の人気投票では、票を獲得するために、佳奈が男子を体で誘惑します。しかし、それに対抗する勢力によって、結局佳奈は負けてしまいます。
 また、主人公の伸明は、彼女の智恵美と親友の直也が王様の命令によって性交をしなければならない状態に追い込まれ、それを黙認する苦悩が描かれます。
 さらに、伸明のことを密かに好きだった女子は目が見えなくなってまうし、あいりの演じた岩村莉愛には、暗い過去があったりして、多くの登場人物に感情移入してしまいました。
 

王様ゲームの「恐怖」や「不合理性」、それによって壊れていく人間関係、一方で深まる絆。こういった点は原作の方がより楽しめます。映画では、ベリキューのみなさんの新鮮な演技を存分に楽しめます。両者は同じようで、違うものです。今回は2倍楽しませていただきました。