毎日新聞の記事が泣けた

新聞を読んで、朝から感動の涙を流してしまいました。
本日(11/10)毎日新聞の24面に「第80回 全国盲学校 弁論大会全国大会」の記事が載っていました。

この記事で目の見えない人たちの弁論大会があることを初めて知りました。
大会で優勝した、県立和歌山盲学校高等部3年 中 麻(なか あさ)さん(18歳)の弁論が全文掲載されていたのですが、これがなんとも素晴らしい内容でした。


題名は「世界にひとつの宝物」
中さんは、弁論でこんなことを話してくれました。


「私は、3歳までにすべての視力を失いました。」
「病名は、網膜芽細胞腫。がんの一種なので、もし転移していれば、いまここに私はいなかったかもしれません。」
「小学生の頃、私は、「色が見たい」と母親に詰め寄り、友達の前では見えているふりをしたりしていました。」
「公園などで子供が親から離れて走りまわっているのを見ると悔しくてなりませんでした。」


しかし、中学生の頃から、中さんの気持ちが変化し始めたようです。
幼い頃一緒に病気と闘った友達のことを思い出した。
その子は、中さんが小学生になった頃に亡くなったそうです。
なぜ亡くなったのか、母に聞いてみた。
どうしても病気が回復せずに亡くなったとのこと。


その時、母はこう言った。
「目見えなくても、あんたは元気に生きてるやろ。彼女の分も、その元気な体でしっかり生きるんやで」


それを聞いた中さんはこう思った。
「生きてる私は、やりたいこと何でもできるけど、彼女は大きなってしたかったこともできへんかったんやな。見えなくても、いま生きていられる私は、この命に感謝せんとあかん。しっかり生きやなあかん。」


それ以降、中さんは自分の障害を隠すことをやめたそうです。
活発で負けず嫌いな性格に育った中さんは、「見えないから」という理由で断れられるのは大嫌い。
そう言われた時でも、「見えなくてもできるよ」と積極的にアピールできるようになったそうです。
こんな私になれたのも「たくさんの経験をさせてくれたり、やりたいことを納得いくまでさせてくれる友達や先生たちがいるから、お星様になって私を支えてくれる友達がいるから」と中さんは、感謝の気持ちでいっぱいです。


そして、最後に中さんは、弁論大会の会場のみなさんに問いかけます。
「みなさん、宝物ってありますか?「これが私の宝物だよ」っていえるような宝物はありますか?」


中さんはこう続けます。
私の宝物は、命です。世界に一つだけの私自身の命です。一度なくしてしまうと、もう二度と取り戻せない、何よりも大切な宝物です。」
「目が見えなくても、こんなすてきな宝物があるのですから、私は、それを大切に、そしていきいきと輝かせたいです。」



●「命が宝物」だと堂々と言う、中さんの言葉に涙があふれてきました。生きていられることに心から感謝されている証拠だと思います。一方、何不自由なく生きている私にとっては、「命」だけでなく「視力」「聴力」「手」「足」なども、「あるのが当たり前」。中さんの弁論を読んで、ハッとさせられました。あたり前のことに対して、自分がいかに感謝できていない人間なのか思い知らされました。


●現在中さんは、大学進学を控える受験生。将来は「多くの人とかかわれる仕事に就きたい」そうです。そんな前向きで力強く生きていこうとする中さんの姿勢は、同じ目の見えない人たちに希望を与えてくれることでしょう。私も元気をもらいました。中さん、ありがとうございます。