天童荒太さん 『悼む人』 を読んだ

表紙を見て衝動買いをしたのが一年前。買っただけで読んでいませんでしたが、最近急に読みたくなり、10日くらいに分けて読みました。
一気に盛り上がる感動ではなく、じわりとくる感動を味わいました。

・主人公である悼(いた)む人というのは、自分と面識のない亡くなった人を悼み、全国を旅する男性です。具体的には、新聞や雑誌から亡くなった人の情報を得て、現地へ行きます。そして、故人がどんな人に愛され・感謝されていたのかを聞いて、亡くなった現場でその人の死を悼み、故人のことを自分の胸に刻むことをしています。
・こんな風変わりなことをしている人なので、住民から不審者と思われ、警察に通報されたりします。
・しかし、そんな悼む人というコンセプトは、とても斬新であり面白いと思いました。


・主人公だけでなく、その周りの3人の人物描写が素晴らしいです。
  バツイチの雑誌記者(悼む人に興味がある)
  悼む人の母親(闘病生活をしている)
  夫殺しで服役後の女性(悼む人に同行するようになる)


●この作品を読んで「亡くなった人とどのように向き合うか?」「人はどんなふうに死ぬことが幸せなのか?」などいろいろ考えさせられました。さすが、直木賞作品です。