海堂尊さん『ジーン・ワルツ』を読んだ

現在、NHKで放送されているドラマ「マドンナ・ヴェルデ」は2つの原作から作られているようです。
マドンナ・ヴェルデ』は、代理母出産をする母親からの視点
ジーン・ワルツ』は、代理母出産をお願いする娘からの視点

まずは、最近映画化もされた『ジーン・ワルツ』を読んでみました。


・海堂さんの作品を読むのは初めてでしたが、面白くて加速度的に読ませていただきました。良かったポイントは以下の4点です。

1.最低限の医学知識
医学用語ばかりの小説だと眠たくなってしまいますが、この本では胎児の成長過程、高齢出産の難しさなどの話が、会話の中で分かり易く説明されています。素人でもスムーズに読むことができました。


2.現代の医療政策への批判
あくまでフィクションなのですが、厚生労働省の医療政策が良くなかったために地方医療が崩壊しているという現状を批判されています。この本を読んで、ニュースで報じられていたことがより理解することができました。


3.一級のサスペンス
前半は、伏線を張りながら淡々と物語が進むのですが、後半の出産シーンは、次から次へとトラブルが起きてドキドキしながら読みました。ラストで主人公の女性が仕掛けたあることには背筋が凍るようにゾッとしました。


4.感動のドラマ
単なる医療小説ではなく、登場人物の人生が描かれています。数人の妊婦さんが登場しますが、各人がいろんな事情を抱えつつも、「いのち」の大切さを感じながら出産にかかわっていきます。特に10章「啓示」が良かったです。P188あたりからは、読んでて涙が込み上げてきました。


海堂尊さんが人気作家であることが良くわかりました。