●ピースあいち開館5周年特別企画 丸木位里・丸木俊「原爆の図展」へ行った

現在、ピースあいちにて開催されている企画展に行ってきました。(2012.7.28〜8.31まで)



 夫の丸木伊里さんは風景画家。妻の俊さんは人間画家。原爆投下の直後に、広島へ行き、被爆して傷ついた人々の群れの中をさまよい歩き、救出にあたった体験をもとに1949年から30年かけて15部の作品を描かれたそうです。

 通常は、丸木美術館(埼玉県東松山市)に展示されているのですが、この夏、ピースあいちが第5部の「少年少女」と第12部の「とうろう流し」をお借りして、展示していただきました。



◆第5部「少年少女」(1951年)
 上のチケットの写真には、ほんの一部しか映っていませんが、実物は畳×8枚くらいの大きな絵です。そこに被爆した少年少女が数十人描かれています。死体となって積み上げられていたり、息絶え絶えになっていたり。迫力と不気味さを兼ね備えるその絵から、その場の空気感が伝わってきます。自分に向かって、生暖かい風が吹いてくるようでした。
 

 母親に連れられて見学に来た小学生(3年生くらい)が、「わーーキモい!」と言っていました。原爆の物理的な構造や、原爆が落とされた理由など知らない子どもさんにも、「原爆が落とされたらどうなるか」ということをこの絵はストレートに伝えてくれているようです。


◆第12部「とうろう流し」(1969年)
 こちらの作品は、赤や青などの色が使用されています。とうとうの火の赤色の中に、亡くなった人や残された人の悲しみ、未練などがいっぱい詰まっているようでした。こんなに悲しげな赤色を見たのは初めてでした。
 とうろうに書かれた、「お母さん」「おとうさん」の文字も悲しく見えました。
 なんとも後味の悪い絵でした。だからこそ素晴らしいと言えるのでしょう。


●関心のある方は、ピースあいちへ足を運んでみてください。この2作品はピースあいちの3階に展示されています。2階では、丸木夫婦のインタビュー(約10分)や、丸木美術館学芸員の方の解説(約1時間)をDVDで見ることができます。2作品を見る前、または見た後にDVDをご覧になると、さらに理解が深まると思います。