●天野鎮雄さんの朗読を聴いた

  「愛知一中予科練総決起事件」
   嵐のあとで 〜ある家族と少年の記憶〜

  2012年6月16日(土) 13:30〜15:00
  ピースあいち(名古屋市名東区


 アマチンの愛称で親しまれている天野鎮雄さんの朗読会に、昨日参加してきました。
 朗読された内容は、既存の小説などではなくオリジナル脚本。南山国際中学校の先生が、戦争当時のさまざまな資料をもとに、この日のために作成されたものでした。

 
<主なストーリー>
・時代は太平洋戦争のまっただ中。主人公は、愛知一中(現:愛知県立旭丘高等学校)の生徒さん。
・愛知一中から海軍飛行予科練習生(予科練)に志願する生徒は、国が設定した目標の約1/4しかいなかった。そこで、学校側はもっと沢山の生徒に志願してもらおうということで「総決起集会」を開催。すると全員が志願した。しかし、その中には本意でない人もいたことだろう。 
予科練生となった主人公は、家族と離れ訓練に励む。両親や弟などを気遣う手紙を何通も送る。
 (手紙の内容は、2/11の記事で少し書きました。)
・戦況がしだいに激しくなり、家族のもとに手紙も届かなくなる。昭和20年5月に戦死する。(数え年で18歳、満16歳)

 

<感想>
 天野さんはとても渋い声で、ゆっくりと語られました。とても臨場感のある朗読でしたので、戦争の時代にタイムスリップしたようでした。テレビや映画の映像で見てしまうと、その映像でイメージが固定してしまいます。しかし、朗読の場合は耳で聴いた内容をもとに、自分の頭で場面を想像するので、無限のイメージが膨らみます。


 当時は戦争に反対する人も沢山いたと思います。しかし、「日本人ならお国のため・天皇陛下のために戦争に協力せねばならぬ」といった見えない「空気」に押されて、少年たちがじわじわと戦争に参加していく様子がとてもリアルに伝わってきました。
 

 また、本日の朗読脚本のベースになった当時の手紙を、ご遺族の方が大切に保管されていたことが素晴らしいと思いました。おかげで60年以上も経った現代において、戦争当時の人々がどんな思いで家族に手紙を書いていたのかを知ることができました。どうもありがとうございます。