ダグラス・C・ラミスさんの話を聞いた

昨日は、憲法記念日です。日本国憲法は満64歳となりました。
この記念すべき日に名古屋市公会堂でラミスさんの講演を聞きました。テーマは、


 「要石としての沖縄
 憲法9条と日米安保のはざまで」


・ラミスさんの話から以下のようなメッセージを受け取りました。
沖縄県は日本の国土のたった0.6%しかない。そこに在日米軍基地が75%もある。この不平等な扱いは、差別ではないか?


・このことを、わかりやすくたとえ話にして話してくれました。
『日本がもし100人の小学校だったら』
ランドセルは重いから、誰かに持ってもらおう。ということで、民主主義的に多数決で1人の体の小さい子ランドセルを持ってもらうことを決めた。その子は75個のランドセルを背負い、あとの99人は、残りの25個のランドセルを分担して持つという決定です。

75個を背負う子が、「重いから、ちょっと手伝っておくれよぅ。」と言うと、
99人の子たちは、「自分の苦しみを他人に押し付けることは良くないことだよ。」「僕たちは今、全てのランドセルを無くすために反対運動をやってるんだ。それが実現するまで待っててね。」と言います。

しかし、99人の子たちは真剣に反対運動をしていません。
なぜなら、99人で25個のランドセルを持っていにすぎないため、彼らはランドセルを背負う苦しみをあまり感じていないから。

・全てのランドセルを無くす=全ての米軍基地返還ということですが、これが実現できれば、憲法9条の精神である平和主義にかなう。こうした考えは、とてもレベルの高い思想だとラミスさんは言われました。
・しかし、これを実現するためには、米軍基地を日本に置くことの根拠となっている日米安全保障条約を解消しなければならない。その日米安保を解消するためには、国民の世論が変わり、国会議員が変わり、官僚も変わらなければならない。よって、いつ実現されるのかわからない。基地が返還されるまで沖縄の人にずっと苦しんでもらうことになってしまう。それでいいのか?ということです。
・そこで、もう少し実現可能な方法を考えてはどうかとラミスさんは提案されました。例えば、佐賀空港茨城空港神戸空港など赤字の空港に米軍基地を移転してはどうか?という提案です。


●このラミスさんの提案については、空港付近の住民の反対運動が起こるので、実現は簡単ではないと思います。しかし、日米安保条約を解消するよりも、実現可能性はあるかもしれません。

●沖縄の人たちへの「差別」を無くしていくためには、本土のどこかの県民が負担を背負うことも仕方のないことだと思います。以前、大阪府橋本知事が、「沖縄の基地を関空へ持ってくる選択肢だってある」といった趣旨の発言をされたことがありました。この発言も、差別は無くすべきという配慮から発せられたものだったと思います。

●講演の最後にラミスさんはこう言われました。
「沖縄の基地をどこに移転するか?ということは沖縄の人に聞くことではない。本土(ヤマト日本)の人が考えるべき問題である。だから『沖縄問題』という言葉は使うべきでない」と。

本土に住むわたしたちが、軍事上安心して暮らしていられるのは、沖縄の人たちの負担に支えられているということを忘れてはいけない。また沖縄の人たちの負担をいかに軽減するかについて考えていくことが必要だと思いました。