岩波書店『世界』6月号を読んでいます

この雑誌の存在を知ったのは約1年前でした。物事を冷静に考えさせてくれる雑誌だと思います。
図書館で読むことが多いのですが、今月の特集は「原子力からの脱出」。家でゆっくり読みたかったので購入しました。

生命科学者、大学教授・助教授、国会議員、ジャーナリストなどいろんな立場の人が、それぞれの観点から原子力発電のない世界を提案されています。

・特に感動したのは、ソフトバンク社長 孫正義さんの論文でした。(P44〜51)


◆孫さん曰く、「通信は電気なしには成り立たない、原発事故は恐ろしい。しかし原発がないと日本の電気事情は成り立たない、と私は思ってきました。しかし、今回いろいろ勉強してみていろいろなことを知りました。
・その勉強の過程で、さまざまなデータを集められたようです。
1.世界の原発の新規運転開始基数と廃止基数のデータ
 (80年代半ばが新規運転開始のピークであり、最近は年間10基以下に減っているグラフ)
2.発電コストの歴史的交差 [ノースカロライナ州における事例研究]
 (2010年に太陽光発電のコストが、原発コストを逆転して下回っている表)
3.太陽光発電の累積導入量の推移 [ドイツの事例] 
 (ドイツ政府が電力の買取価格を上げたので、民間企業が争って発電した。そのため太陽光発電が爆発的に普及しているグラフ)

・孫さんは、こうした海外の事例を日本でも参考にして、原子力に代わるエネルギーを増やしていくことを提案されています。さらに、言ってるだけでなく行動を起こさねばということで、→ 自然エネルギー財団」を設立して、個人の立場で10億円を拠出されるようです。


●この論文を読んで、孫さんのとても謙虚な姿勢を感じました。そして迅速に行動できる人だと思いました。他の経営者、特に影響力の大きい企業の経営者のみなさんには見習っていただきたいと思います。