朝日新聞記者 伊藤千尋さんの話を聞いた

テーマ「変革の時代−基地のない沖縄、原発のない世界」

伊藤さんは、朝日新聞で記者をされており、日本国内だけでなく海外もたくさん取材されています。とても分かりやすく・ユーモラスに話して下さいましたので、あたかも自分が現地へいって話を聞いてきたかのような気持ちになりました。特に印象に残った2点について書きたいと思います。


1.基地はいらない
最近は、沖縄普天間基地の報道がほとんどありませんが、これは解決しなければ問題だと思います。伊藤さんの話によると、米軍基地を追い出して、地元に返還された事例がいくつもあるそうです。(例えば1992年のフィリピン、2003年のプエルトリコなど)

(1)フィリピンのケース
・1991年にフィリピンで火山が噴火→住民逃げる→米軍基地を抜けて逃げようとしたら→米軍が門を閉めた→住民は回り道して逃げなければならなかった。→「フィリピン国民の命を守らない基地なんていらない!」という声→国会で米軍基地の撤去を決定。

・このとき、「基地がなくなったら基地で働く4万2千人の労働者がどうなるのか?」という心配もあったようです。しかし、フィリピンの人は、前向きに考えた。すなわち「新たに働けるようにすれば良い」

・基地の跡地を「農業」「産業」「大学」の各地区に分けて新たな雇用を生み出していった。5年後には6万7千人が働くようになったそうです。


(2)プエルトリコのケース
・ここには、米軍の弾薬庫や射爆場があったそうです。劣化ウラン弾の実験が行われていた。→住民の反対運動が激化→ブッシュ大統領「住民が反対しているなら返さざるを得ない」→返還

・このとき、日本政府もプエルトリコと同じ理屈で、普天間返還を要求するチャンスだったのに→何も言わず。


●伊藤さんの話を聞いて、こんなに成功事例があるのだから、沖縄でも基地返還は可能だと思いました。日本人は難しい問題に直面すると「よし、やってやろう!」という風にはなかなかならない。「できない理由」をいくつも挙げて、言い訳を作るのが得意。物事に対して本気になる人が少ないのでしょうか。


2.時代は自然エネルギー
伊藤さんから聞いた地熱発電の話は以下の通りです。
アイスランドコスタリカでは地熱発電水力発電でほとんどの電力を賄っているそうです。コスタリカ地熱発電は、なんと日本から技術導入。世界の地熱発電の25%は東芝の技術が使われている。
・しかし、日本では地熱発電はほとんど行われていない。地球が続く限り続けられる地熱発電はエコだ。また原発のように冷やさなくても良い。地熱発電により出てきた排水はアイスランドの世界一の温泉ブルーラグーンのように温泉施設にしてしまえば良い。メリットが沢山ある。
火山国である日本で地熱発電をした場合、原発20基分(2,000万kw)の電力を作ることが可能。現在、日本の原発は54基あるが、稼働しているのは28基のみ。
・日本において地熱発電ができない理由は、「掘る費用がかかる」「国定公園などは景観を守る法律があるので、そこに発電所はつくれない」など→しかし前者は油田と同じくらいの費用でできるし、後者は、法律を変えれば良い。


●エネルギーの分野でも日本人の「できない理由」好きが幅を利かせているようです。地熱発電にはいろんな問題があるとは思いますが、日本に地熱発電できる潜在能力があり、世界レベルの技術があるのだから、地熱発電もやっていけば良いと強く思いました。